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高橋堅 BRASS CLINIC 建築流儀.comはアーキッシュギャラリーによる運営です

BRASS CLINIC
作品番号 1046【千葉県】
Clinic

真鍮の選択

病院建築の設計においては最も合理的な平面計画が求められるのですが、それは雑居ビルにテナントで入るクリニックといえども同じことです。診療動線の独立化や効率化はもちろんのこと、改修のプロジェクトに特有の問題としては、既存開口部からの採光・換気計画と平面計画のすりあわせなどが挙げられるでしょう。雑居ビルを医療用に改修することは、ある意味では新築以上に気を遣う仕事ですが、「建築計画学的な合理性」という指標を忠実に処理していくしかありません。しかしそうした中でも、一歩踏み込んだ提案をすることによって、その場所に何か新しい付加価値を与えることができるのではないかとも考えていました。たとえば素材です。BRASS CLINICではその名の通り真鍮を多用していますが、その理由は銅および真鍮などの銅合金に、MRSAをはじめとする各種病原体に対する強力な殺菌性能があることを知ったからです。これは2008年に米国環境保護庁(EPA)が公に認めたもので、金属材料では初めてのことでした。おりから大流行していた新型インフルエンザウィルスH1N1も、付着後一時間以内にほとんど死滅します。そのため接触感染が主たる感染経路になる細菌感染には大きな効果があると判断し、扉や家具の取手などの金物類、診察机や受付台といった環境表面をすべて真鍮で製作することにしました。

高橋堅建築設計事務所
高橋堅
KEN TAKAHASHI

Data

作品番号1046
エリア千葉県
規模・構造RC造 改修
延床面積113.41 ㎡
施工杉本興業

[Photo:阿野太一]


きんいろのリノベーション

酸化していない真鍮はまさに金色です。これを全面的に展開することにためらいがなかったわけではありません。ただ真鍮は表面が酸化すれば落ち着いた風合いになっていきます。薬剤等で一様に酸化させることは難しいため、サンダー処理を施して自然な酸化を促しています。BRASS CLINICでは、北里大学医学部の笹原武志氏によって詳細な細菌検査を実施しました。その結果、場所によっては通常のクリニックと比べ100倍以上の有意な差が出ていることが検証されました。こうしたことからBRASSCLINICは上海万博におけるチリ館に招待され、展示・カンファレンスを行いました。医療建築における環境表面の衛生管理には今後さらなる関心が寄せられると予測されますが、抗菌性と同時に耐久性・意匠性に優れる銅合金は注目の素材と言えます。ただ真鍮は木工用の機械では簡単には造作できないため、その使用にあたっては綿密な納まりの検討や、詳細な寸法設計に留意する必要があります。

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