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PROFESSIONAL ARCHITECTS
富士見が丘の家
作品番号 1023【栃木県宇都宮市】
Sequence

環境を純化するシークエンス

敷地は南傾斜の住宅団地の北端に位置し北側には北傾斜の森が広がっている。森の木々は日差しを順行で受け美しい彩りを見せてくれる。また北側斜面は東から西へ急傾斜で下っているため、敷地から見た森の表情は一様ではない。北東側は近接する木々に包まれるかのようで、北西に向かうにつれて木々は眼下へと離れ、高台から森を見渡すような視界が開ける。一方、敷地南側は前面道路を挟んで、住宅が立ち並んでいる。 北側の森との関係性をより純化させるため、住宅街を遮るように塀の如く立ち上がる「閾の間」を配した。一方、森との関係が単調にならないように、場面ごとの関係性を抽出して空間化し箱に閉じ込めることを考えた。自然の山桜が立つ北東側には山桜を丸ごと取り込む背の高い大開口を持つ「水の間」、眺望の開ける北西側は風景を切り取った見晴らしの良い「森の間」を配した。森との関係をよりドラマティックに体感できるように、その中間に「光の間」を配した。「光の間」は、森との関係を近景の枝葉に限定的なものとして、南からの日差しとの関係を強調している。「光の間」への十分な採光を確保するため「閾の間」は床を地面に埋めて建物高さを抑え、さらに「閾の間」が塀となることで南側の大開口を気兼ねなく全開にすることができる。建物中心部に位置する「空の間」は外部空間でありながら室内のスケールで計画している。「閾の間」に守られていることで安心感と開放感を兼ね備えた空間となっている。「閾の間」は南側を塞ぎ、床を下げることで、他の空間には無い落ち着いた静けさのある空間となり、「森の間」へと歩みを進めることで劇的に空間が変化する。周辺環境との選択的な関わりから導き出された多彩な箱が、それぞれ補完し合いながら円環状に連続することで、変化に富んだ豊かな集合体としての空間を構成している。

石井秀樹建築設計事務所
石井秀樹
HIDEKI ISHII

Data

作品番号1023
エリア栃木県宇都宮市
規模・構造木造平屋建
敷地面積337.15 ㎡
延床面積123.03 ㎡
施工丸山工業

[Photo:K.Torimura]


工数を減らしてコストを抑える

比較的コストの厳しいプロジェクトであったため、床面積を絞った計画とするだけでなく、施工の工数を減らしてコストを抑える努力をしている。例えば、床の多くは基礎の底盤をそのまま利用して、床組やその上の仕上げの工数を省いている。また、浴室もFRP防水にトップコートを塗布するだけで仕上げ、床および壁仕上げに掛かる工数を省いている。さらに収納は家具工事ではなく、極力、大工工事で造作できる簡易な造りとして、そこに建具を嵌め込むことで相対的にコストを抑えている。コストを抑える一方で、杉の板割りを慎重に割り付けることで扉の存在感を消したりミニマムな仕上げを徹底して、仕上げの省略化によってチープになるのではなく、よりミニマムで豊かな空間へと昇華させている。

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